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矯正歯科

2026-08-05

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歯周病があっても矯正できる?矯正と歯ぐき・骨の関係を専門解説

デンタルフロスで口元をケアするイメージ写真

矯正治療と歯周組織の関係を解説。歯周病がある場合の治療順序、歯ぐきが下がるリスク、ホワイトスポットとフッ化物のエビデンスまで論文を引用して整理します。

※写真はイメージです

矯正治療は歯を並べるだけでなく、歯ぐきと骨(歯周組織)に少なからず影響します。「歯周病があっても矯正できるのか」「矯正で歯ぐきが下がるのか」「装置で虫歯や白い斑点ができないか」——本記事では、こうした疑問に、システマティックレビューと学会ガイドラインにもとづいて専門的に答えます(影響には個人差があり、治療の可否・時期は歯科医師の診断によります)。

矯正は歯周組織に何をもたらすか

無治療群と比較した数少ないシステマティックレビューでは、矯正治療により歯肉退縮 +0.03mm、歯槽骨吸収 0.13mm、ポケット深さ +0.23mmという変化が示され、著者らは「矯正治療が歯周の健康に良い影響を与えるという信頼できるエビデンスはなく、むしろ小さな有害な影響を示唆する」と結論しています[1]

ただし数値はいずれも0.03〜0.23mmと極めて小さく、著者自身がエビデンスは「弱い」と明記しています。「矯正で歯周が壊れる」という話ではなく、清掃と管理が必要な期間があると理解するのが妥当です。

装置の種類とプラーク・歯肉炎

31件を質的に統合し17件をメタ解析した研究では、プラーク指数・歯肉炎指数・プロービング深さ・出血のいずれもアライナー(マウスピース)で有意に良好で、ホワイトスポットの発症リスクはアライナー装着者で約10分の1と報告されています[3]。アライナー治療中に歯周指標が改善したとするレビュー[2]や、固定式装置で炎症性サイトカイン・歯周指標が高かったとするレビュー[4]もあります。

もっとも、これは「アライナーなら虫歯・歯周病にならない」という意味ではありません。取り外せるぶん清掃しやすいという構造上の利点であり、日々の歯みがき装着中の飲食管理が前提です。

歯周病がある人の矯正:順序が決定的

欧州歯周病学会(EFP)のS3レベル臨床実践ガイドライン(ステージIV歯周炎)は、歯の傾斜・移動・咬合崩壊を伴う進行例に対し、矯正的歯牙移動を治療選択肢に含めつつ、「歯周の治療部分はステージI–IIIの歯周炎治療のガイドラインに従うべき」と明記しています。つまり活動性の炎症を歯周治療でコントロールしてから矯正へ進むという順序が、ガイドラインとして示されています[7]

この順序が守られた場合の結果として、26研究を統合したレビューでは、非歯周炎患者および「安定した治療済み」歯周炎患者では、矯正的歯牙移動が歯周アウトカムに有意な影響を及ぼさなかったと報告されています[5]「治療済みで安定していること」が前提条件である、というのがエビデンスの読み方です。

歯を動かせば骨は戻るのか

重度歯周炎に伴う病的な歯の移動(フレアアウト・挺出)に対する歯周‑矯正併用治療を統合したレビューでは、臨床的アタッチメントレベルの獲得0.24mm、ポケット減少0.23mm、辺縁骨の獲得0.36mmと、改善はいずれも小さく、著者らは「矯正治療は歯周パラメータの小さな改善と関連しうるが、予後には影響しないようだ」と結論しています(エビデンスの質は低い)[6]「歯を動かせば骨が再生する」わけではないという点は、期待値の調整として重要です。

歯ぐきが下がる(歯肉退縮)リスク

ここはエビデンスが割れており、正直に両論を示すのが誠実です。

研究結論
Joss-Vassalli 2010(SR・17研究)唇側に傾斜した歯ほど退縮の頻度・重症度が高い研究が多い。骨のエンベロープ外への移動は退縮を生じやすくしうる。ただし退縮量は小さく臨床的意義は疑問
Morris 2017(205名・長期)治療終了時の退縮は5.8%、保定後は41.7%(1mm超は7.0%)。下顎切歯の唇側傾斜と治療後の退縮に関連なし。矯正は主要なリスク因子ではない

共通して言えるのは、退縮は加齢でも進む(保定後41.7%)こと、そして骨の外へ歯を出すような移動は避けるべきという点です[8][9]

ホワイトスポット(脱灰)とフッ化物

固定式装置では、装置周囲のエナメル質が白く濁るホワイトスポット(初期脱灰)が起こりえます。古典的な疫学研究では、バンド・ボンディングいずれの歯も未治療群より有意に多くのホワイトスポットを形成し、上顎側切歯の唇側歯頸部が最も高頻度でした。一方で、予防プログラムがなくても患者の50%は形成しなかったことから、唾液など個人差の関与も示唆されています[11]

予防としてのフッ化物については、コクラン・レビュー(1,798名)が次のように整理しています[10]

  • 高濃度フッ化物フォーム(12,300ppm・2か月毎の専門家塗布):新規脱灰を減らす可能性(12% vs 49%)
  • 高濃度フッ化物歯磨剤(5,000ppm):従来品より減らす可能性(18% vs 27%)
  • フッ化物バーニッシュ:差を示す十分なエビデンスは得られなかった

いずれも「低い確実性」かつ単一研究に基づく結果である点に注意が必要です。効果を断定できるものではありません。

よくあるご質問

Q. 歯周病がありますが矯正できますか?

A. まず歯周治療で炎症を安定させることが前提です。安定後であれば、矯正が歯周アウトカムに悪影響を及ぼさなかったという報告があります。可否は検査のうえ判断します。

Q. 矯正すると歯ぐきが下がりますか?

A. 研究結果は一致していません。加齢でも退縮は進みます。骨の外へ歯を動かさない計画と、清掃・定期管理が現実的な対策です。

Q. 白い斑点が心配です。

A. 固定式では起こりえます。フッ化物の活用が検討されますが、効果の確実性は低いとされており、まずは清掃と食習慣の管理が基本です。

まとめ

矯正と歯周組織の関係は、「順序」と「管理」に尽きます。炎症があるなら歯周治療を先に、装置期間中は清掃と定期チェックを徹底する——これがエビデンスの示す実務です。銀座・東銀座で歯ぐきの状態を含めて相談したい方は、無料の初回カウンセリング(流れはこちらご予約はこちら)へ。マウスピース矯正料金もご確認いただけます。影響には個人差があり、最終的な診断は歯科医師が行います。

参考文献

  1. Bollen AM, et al. The effects of orthodontic therapy on periodontal health: a systematic review of controlled evidence. J Am Dent Assoc. 2008;139(4):413-22. PubMed 18385025
  2. Rossini G, et al. Periodontal health during clear aligners treatment: a systematic review. Eur J Orthod. 2015;37(5):539-43. PubMed 25548145
  3. Llera-Romero AS, et al. Periodontal health status, oral microbiome, white-spot lesions and OHRQoL—clear aligners versus fixed appliances. Korean J Orthod. 2023;53(6):374-92. PMC10663575
  4. Charavet C, et al. Oral microbiota during orthodontic treatment with fixed appliances versus aligners: a systematic review. Orthod Fr. 2024;95(2):133-52. PubMed 39106190
  5. Martin C, et al. Effect of orthodontic therapy in periodontitis and non-periodontitis patients: a systematic review with meta-analysis. J Clin Periodontol. 2022;49(Suppl 24):72-101. PubMed 33998045
  6. Papageorgiou SN, et al. Effect of periodontal-orthodontic treatment of teeth with pathological tooth flaring, drifting, and elongation. J Clin Periodontol. 2022;49(Suppl 24):102-20. PMC9290963
  7. Herrera D, et al. Treatment of stage IV periodontitis: The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2022;49(Suppl 24):4-71. PubMed 35688447
  8. Joss-Vassalli I, et al. Orthodontic therapy and gingival recession: a systematic review. Orthod Craniofac Res. 2010;13(3):127-41. PubMed 20618715
  9. Morris JW, et al. Prevalence of gingival recession after orthodontic tooth movements. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2017;151(5):851-9. PubMed 28457262
  10. Benson PE, et al. Fluorides for preventing early tooth decay (demineralised lesions) during fixed brace treatment. Cochrane Database Syst Rev. 2019;(11):CD003809. PMC6863098
  11. Gorelick L, Geiger AM, Gwinnett AJ. Incidence of white spot formation after bonding and banding. Am J Orthod. 1982;81(2):93-8. PubMed 6758594

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